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サイエンスヒルズ構想、日蘭交流、海ごみゼロ、海事クラスタ、インフラ劣化対策など多彩なテーマで第19回大阪大学共同研究講座シンポジウム開催


 第19回大阪大学共同研究講座シンポジウム「『地域に生き世界に伸びる』~大阪大学の源流と連携の多様性~」(大阪大学大学院工学研究科主催、共創機構協力、文部科学省・経済産業省など後援)が10月31日(金)、大阪大学中之島センター・佐治敬三メモリアルホールで開催され、約70人が参加しました。

多くの参加者で埋まった会場

 冒頭、大政健史・工学研究科長が「工学研究科発祥の地である中之島で、地域連携、グローバルな発展を考え、オランダとの深い関係にも思いをいたしたい」と開会挨拶しました。

開会挨拶する大政研究科長

続いての各講演は次の通り。

【Ⅰ部】 大阪大学の「地域に生き世界に伸びる (Live Locally, Grow Globally)」
◇ 特別講演(1)
「地域に生き世界に伸びる~大阪・関西サイエンスヒルズ構想」 
藤尾慈 大阪大学統括理事・副学長
 「総合知と実践力を駆使し、未来社会に貢献することが、新しい大学のかたちとなる」「大阪・関西サイエンスヒルズ構想を基軸として、地域共創事業、共同研究・スタートアップ創出事業を推進する」「大阪府の戦略と一致する『Beyond EXPO 2025』に関わっていきたい」

特別講演をする藤尾統括理事・副学長

◇特別講演(2)
「日蘭交流 温故知新」 
マルタイン・フーレ オランダ王国総領事館商務官
 「万博・オランダパビリオンが中心テーマとした『コモングラウンド』を推進すれば、グローバル課題の画期的な解決策を見つけることができる」「オランダパビリオンには緒方洪庵像も持ち込まれ、阪大・近大・中之島クロスとの交流もできた」「万博に絡んでいろんな訪問団を受け入れることができたのは、阪大のおかげだった」

マルタイン商務官は、オランダ国王が適塾訪問した様子も紹介

◇特別講演(3)
「ハラタマ博士と大阪舎密局(せいみきょく)― 日蘭交流で拓く未来」 
深瀬浩一 大阪大学総長参与・放射線科学基盤機構特任教授(常勤)
 クーンラート・ウォルテル・ハラタマ博士は、慶応2年に来日した最初の理化学専門教師であり、日本の化学の発展に貢献した。明治2年、大阪・大手前に日本初の化学教育機関『舎密局(せいみきょく)』が設立され、ハラタマが体系的な理化学教育を実施した」「緒方洪庵の子でハラタマに師事した緒方惟準ら適塾の関係者が、大阪・上本町での仮病院、仮医学校設立に参加し、オランダ軍医のアントニウス・フランシスクス・ボードウィンが校長に就任。この仮病院と仮医学校が、大阪帝国大学につながっていった」

深瀬特任教授(常勤)は、ハラタマ博士の功績などを解説した

【Ⅱ部】 連携の多様性
「“海ごみゼロおおさか”未来創造プロジェクト」  
中谷祐介 大阪大学大学院工学研究科准教授
定道生 大阪府環境農林水産部環境管理室環境保全課課長
西山義浩 古野電気株式会社舶用機器事業部開発設計統括部開発部スマート水産業開発推進担当部長

 「定点カメラを活用し、AI分析によって海洋ごみ量の推計を進めている」「プラスチックごみの陸域発生から海洋流出に至るまでのストックフローモデルの開発を実施」「魚群探知機の技術を駆使し、大阪湾のごみ対策を検証。海との共存を目指す」

「海ごみゼロ」の(左から)西山部長、定課長、中谷准教授

「生成AI時代の業界イノベーションに向けた海事クラスタ一丸の取り組み」 
牧敦生 先進海事システムデザイン共同研究講座教授
 「日本の造船建造シェアが低下し、海事クラスタの再整備・強化が急務となるなか、2025年4月に共同研究講座『OCEANS』が船出した」「阪大の船舶研究・技術の強みを生かし、物理に立脚しながら洋上風車・自立航行などの開発につなげ、企業ともいい連携を進める」

海事クラスタ一丸を報告する牧教授

「インフラと都市の老いを考える社会実装研究を通した産官学連携」  
貝戸清之 大阪大学大学院工学研究科教授(ビデオ出演)
 「橋梁はもとより、道路、トンネル、上下水道などのインフラ劣化を、点検ビッグデータを用いながら予測している」「インフラの経済性分析、リスク評価、異常検知へ派生・基礎研究だけでなく,社会実装研究も重視している」

ビデオ出演した貝戸教授のスライド

【Ⅲ部】 パネルディスカッション~大阪大学の源流と連携の多様性~
    パネリスト=定道生 中谷祐介 西山義浩 深瀬浩一 牧敦生 マルタイン・フーレ
    ファシリテーター=栗本聡 工学研究科社会連携室副室長 教授

  「阪大の国際交流・国際共創戦略として、ネットワーク強化、留学生受け入れ基盤整備、日本学生の海外派遣拡大などを行っている」「海ごみ対策において、民間としては社会貢献の側面だけでは苦しい。ごみを減らすことで魚が増え、漁業者も豊かになるサイクルを目指す」「大阪ローカルの成果であっても、アカデミアとして論文を通じて世界に発信することも大事だ」「オランダは中之島クロスとの連携で、再生医療での協調が進められている」

パネルディスカッションでは活発な意見交換が行われた

閉会挨拶をする安田室長

 最後に、安田誠・工学研究科社会連携室長が「多彩な話題が交わされて、素晴らしい議論が展開されました。
 来年の第20回に向けて、今後もご支援をお願いします」と閉会挨拶を行いました。

このあと会場を2階に移し、情報交換会でも有意義な意見交換が行われました。

※参加者に配布した要約資料集に残部がありますので、社会連携室にお越しになれば、差し上げます。

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