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アルバック未来技術協働研究所

真空技術をベースとして、学術の発展、技術課題の解決および創造力豊かな人財育成への貢献をめざします。

研究者インタビューVol.9

執筆者:
アルバック未来技術協働研究所 石川 諒 特任講師(常勤)
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アルバック未来技術協働研究所

目次

  1. 1.先生のご専門について教えてください
  2. 2.どのような研究をされていますか?
  3. 3.この道に進むことになったきっかけを教えてください
  4. 4.共同研究講座・協働研究所の利点
  5. 5.企業が大学内で研究することの意義
  6. 6.この研究で難しいことは?また、研究が進まない時にはどうやって乗り越えますか?
  7. 7.人々に伝えたいこと、メッセージ
    今後、共同研究講座でやっていきたいこと、実現したい未来、 これから研究者、理系を目指す方々へ

アルバック未来技術協働研究所 石川 諒 特任講師(常勤) 

特任講師(常勤)石川 諒 先生

先生のご専門について教えてください

私の専門は真空技術、真空成膜技術を基盤としたデバイス開発です。真空中で材料を原子・ナノメートルスケールで精密に制御することで、薄膜や界面の特性を自在に設計し、スピントロニクスや半導体を中心とした省エネルギー情報素子の創出を目指しています。基礎的な物性理解から実際に動作するデバイスの実証までを一貫して扱う研究スタイルを特徴とし、真空技術を軸に、将来の情報技術を支える新しいデバイス原理の確立とそれに必要な装置技術の考案に取り組んでいます。

どのような研究をされていますか?

IV族混晶半導体や磁気スキルミオンといった新しい材料・磁気構造を対象に、スピンの自由度を活用した極めてエネルギー効率の高い情報素子の研究を行っています。情報処理を熱力学の観点から捉え直す「情報熱力学的素子」の実現を長期的な目標とし、基礎研究を主軸に据えながら研究を進めています。一方で、将来的な社会実装を見据え、企業が目指す技術の方向性やデバイス応用の可能性を常に意識しながら、基礎と応用をつなぐ研究展開を重視しています。

この道に進むことになったきっかけを教えてください

大学では物性工学およびナノテクノロジーを専攻し、博士課程では超高真空装置を用いて磁性トポロジカル結晶絶縁体を作製し、表面状態と磁性の関係について研究してきました。学生時代に、将来の情報デバイスは従来技術の延長ではなく、物理の限界に挑む新しい原理が必要になると考えるようになりました。その思いから真空技術の総合メーカーであるアルバックに入社し、装置技術の開発と基礎研究を相互にフィードバックさせながら並行して進められる環境で研究に携わりました。その後、大阪大学の協働研究所でスピントロニクス研究が始まることを知り、自ら志願して現在の研究に参画しています。

共同研究講座・協働研究所の利点

共同研究講座・協働研究所は、大学と企業の中間的な立ち位置にあり、双方の強みを活かした研究を推進できる点が大きな利点です。企業的なビジネス視点や研究のスピード感を持ちながら、大学の研究室のように独創性や創造性に富んだ研究を自由度高く進めることができます。また、アルバック未来技術協働研究では大学院生の受け入れを積極的に行っており、日常的に協働で研究を行うことで、研究活動を通じた人材育成に直接関われる点も重要です。さらに、競争的資金の獲得や、異分野の研究科の先生方との議論を通じて、多角的な視点から研究を発展させられる環境が整っています。

企業が大学内で研究することの意義

企業が大学内で研究を行うことには、短期的な成果にとらわれず、社会や技術の将来を見据えた本質的な研究に取り組める意義があります。大学が持つ自由な発想や多様な専門性と、企業が培ってきた技術基盤や実装視点を融合することで、企業単独では生まれにくい新しい価値を創出できます。また、研究活動を通じて大学院生に企業的な視点や研究の進め方、社会実装を意識した考え方を伝えられる点も重要です。人材育成と技術創出を同時に進めることが、持続的なオープンイノベーションにつながると考えています。

この研究で難しいことは?また、研究が進まない時にはどうやって乗り越えますか?

私の研究で特に難しいのは、所望の特性を有する磁性材料を安定的に成膜し、再現性のあるデバイスとして成立させることです。磁気スキルミオンのブラウン運動を利用した素子では、サブナノメートルレベルの膜厚変化によって特性が全く再現しなくなる経験もあり、プロセス条件の僅かな違いが結果を大きく左右します。研究が行き詰まった際には、試料やデバイス作製の失敗要因を徹底的に分析し、他の研究者や教員と議論を重ねることで、次に打つべき最も効率的な方策を導き出すよう心がけています。


人々に伝えたいこと、メッセージ
今後、共同研究講座でやっていきたいこと、実現したい未来、 これから研究者、理系を目指す方々へ

協働研究所では、自身の研究成果を社会実装につなげることに加え、在籍する大学院生の育成を重要な使命の一つと考えています。協働研究所ならではの環境で研究に取り組むことで、社会に出た後も自ら課題を見つけ、主体的に活躍できる人材へと成長してほしいと考えています。そのための研究テーマ設定や議論の場づくりなど、教育面での支援にも力を入れていきたいです。これから研究者や理系を目指す方には、研究対象に真摯に向き合いながら、研究そのものを楽しむ姿勢を大切にしてほしいと思います。アルバック未来技術協働研究所では、基礎から応用まで幅広いテーマで研究に取り組んでいます。研究は簡単ではありませんが、その分だけ「わかった瞬間」の喜びがあり、そのプロセスを議論しながら一緒に楽しめる学生・大学院生の方と研究を進めていけたら嬉しいです。少しでも関心がありましたら、見学や研究内容のご相談からでも構いませんので、お気軽にお声がけいただければ幸いです。

講座メンバー:後列左から 石川 諒 特任講師(常勤)、 竹内招へい研究員、 佐藤副所長、
戸田招へい研究員、 米田アドバイザー, 三本事務補佐員
前列 研究所で学位論文の指導を受けている大学院生のみなさん 

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