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モビリティシステム共同研究講座 太田豊特任教授
先生のご専門について教えてください
カーボンニュートラル社会の実現の鍵として、エネルギーシステムの脱炭素化が挙げられています。太陽光・風力発電など再生可能エネルギー源の有効利用、スマートハウス・ビルなどのデマンドサイドマネジメント、電気自動車普及によるモビリティの電化などに、電気工学、制御工学、情報工学の専門の観点から関わってきました。
どのような研究をされていますか?
モビリティシステム共同研究講座では、電気自動車の大規模普及を想定してエネルギー×モビリティ型スマートシティへの展開を掲げるとともに、電気自動車普及に向けたコンサルティングツール生成から、電力・自動車分野のデータ連携を契機とした電力インフラ・充電インフラの最適設計、人・物・エネルギーの動きを都市レベルで再現するデジタルツイン構築まで、電気自動車とスマートシティに関わる研究活動に取り組んでいます。
この道に進むことになったきっかけを教えてください
大学では大規模な電力システムの運用や制御に興味を持ち、以来、電力分野の方々と電力の安定供給や再生可能エネルギー導入について議論してきました。
ここ10 年くらいは幅を広げて、今度は自動車分野の方々と電自動車普及の議論を重ねてきました。
そして今、大阪大学では電力・自動車両分野の方々とスマートシティを作りあげるキャリア集大成となりそうな?仕事をいただいているところです。
共同研究講座・協働研究所の利点
工学系の応用研究では、技術の先進性はもちろんのこと、実用性、ビジネスモデル、制度設計・規制緩和などの総合的な知見も重要と思います。
共同研究講座のような企業とがっちりと組んだ枠組みでは、目的志向型の課題を大胆に設定して技術・ビジネスモデル・制度のバランスの取れた本格的な研究を行えることが醍醐味と思います。
モビリティシステム共同研究講座でも国の研究プロジェクトに参画する機会やプロジェクト結成に関与する機会をいただいています。
企業が大学内で研究することの意義
企業研究者にとっては、学際・分野横断的なアカデミアに席を置くことはいろいろな刺激や気づきがあることと思います。
オープンイノベーションの一歩として、大学の幅広い研究者・学生にアクセスする(梅?)、大学をハブとしたコンソーシアムの結成(竹?)、大学発ベンチャーの模索(松?)などの展開も期待できると思います。
モビリティシステム共同研究講座でも松竹梅それぞれで実績や検討を積んできているところです。
この研究で難しいことは?また、研究が進まない時にはどうやって乗り越えますか?
エネルギーとモビリティの領域を横断した環境性・快適性・レジリエンスに優れたスマートシティの概念やシステムを構築する壮大な研究にチャレンジしていますので、実現は難しいのでは?とよく言われます。
そのたびに、海外の先進的な研究者、将来を見据えた有識者の方々や国の方々、将来を担う学生のみなさん、企業でプロジェクトを手掛ける先駆者の方々に元気をもらいつつ進んでいます。
都市・街に暮らし・移動する住民のみなさんのライフスタイルやそのインフラのあり方にダイレクトに寄与する研究ですので、社会受容性も難しい課題となるでしょう。
電気自動車や充電インフラ、その他エネルギー機器を吹田キャンパスにできるだけ持ち込んで、見える・わかるデモンストレーションを通してキャンパス構成員の反応を見ています(阪大、みなさんイノベーティブで先進的で良いアドバイスをいつもいただけます!)。
人々に伝えたいこと、メッセージ
みなさんはくらしとモビリティの電化を核とした快適性・環境性・柔軟性・強靭性に優れたスマートシティに住みたいでしょうか?
モビリティシステム共同研究講座では、カーボンニュートラル社会に向けてライフスタイルの脱炭素化や再生可能エネルギー・電気自動車の地域での利活用を特徴としたエネルギー×モビリティ研究ハブを形成しています。
吹田キャンパス工学研究科 U4 棟でお待ちしておりますので、気軽にお訪ねいただき議論や連携の機会をいただければ幸いです。
利便性・環境性・持続可能性を実現する電気自動車を核としたスマートシティ・コミュニティの研究を進めています。