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工学研究科の窓  Vol4. 全国唯一の飛び地、北山村の美しさ 防災対策で研究対象にもなれば?

3県に接する絶景の瀞峡。手前が奈良県、向こう左が三重県、右が和歌山県

 

◆全国唯一の飛び地、北山村の美しさ 防災対策で研究対象にもなれば?

 全国で唯一の完全飛び地である和歌山県北山村をご存じですか? 和歌山県、奈良県、三重県に囲まれていて、三重県の中にすっぽり入っています。なのに、なぜ和歌山県なのか、は後述します。この村に隣接するようにつながる奈良県十津川村は全国的に有名です。工学研究科の木多道宏教授は同村で「林業の6次産業化」に向けた研究・連携などを進めましたし、その延長線上で工学研究科と十津川村は「林業・木材産業の活性化に関する連携協力協定」を締結しています。同村と密接な関係があって林業にも力を入れている北山村とも、本学がいろいろかかわっていけるかもしれません。

 その北山村を桜の美しいシーズンに訪ねてきました。和歌山市からでも自動車で3時間以上。熊野古道(中辺路)を貫いて、熊野川沿いの国道368号をひた走り、川を左手にわたって国道169号を北上したところに北山村があります。到着前に、観光スポットで有名な「瀞峡(どろきょう)」の景勝地に立ち寄りました。高くそびえ立った広大な岸壁の合間を清流が流れ、和歌山、奈良、三重3県の県境に囲まれたまさに「融合点」といえ、絶景を楽しめました。

3県に接する絶景の瀞峡。手前が奈良県、
向こう左が三重県、右が和歌山県
この地図を見ると、3県との地形がよく分かります

 そもそもなぜ、こんな飛び地になったのか? 地元の方から聞いたところ、江戸時代には三重内にすっぽり収まっている北山村は、道で奈良と通じていただけで、太平洋側に向けて道はなく、木材をいかだにして輸送する川が唯一の交通手段でした。その熊野川河口が今の和歌山県新宮市。明治になってどの県に所属するかを決める際、今でいう「住民投票」を行ったところ、川を通じて交易でつながる和歌山県入りを選んだのだそうです。元村長は「住民自治をお上(かみ)が尊重したのは素晴らしい」と語っていました。

 2011年9月、多くの死傷者を出した台風23号被害で北山村も幹線道路の崩壊、がけ崩れなどで何か月にもわたって孤立しました。村として県や国に働きかけ、必死の復興につなげました。かつての周辺の町、村の大半は平成の大合併によって大きな市に組み込まれて行政機関としては「一支署」となっていたため、直接的な復興策にはかかわれませんでした。北山村は県唯一の村として生き残っていたからこそ、強みを出せたのでした。非常時の災害被災、平素の住民生活のことを研究するうえで、貴重な存在ではないでしょうか? 
  和歌山県の防災担当幹部は、本学工学研究科にも「防災関係で連携させてもらいたい」とのラブコールを送ってきています。そして冒頭の木多教授は、これまでの10年間にわたる研究室の取り組みの成果をもとに、同県広川町の事前復興計画の作成に取り組み、「阪神淡路大震災以来、能登半島地震に至る様々な経験や教訓を生かすためには、広域のまちづくりや、国レベルの制度設計も必要となっています」と語り、広域連携を視野に入れています。「稲むらの火」で知られる広川町は、「世界津波の日」(11月5日)のシンボルであり、防災・減災を先導することが期待されています。「津波防災」についてはいずれこの欄で、木多教授の研究も交えてご紹介します。  

 さて、最後に北山村の魅力。美しい自然に尽きます。一方、快適に泊まれる「おくとろ温泉 やまのやど」がありますし、バンガローやキャンプなども楽しめます。日本各地に「川下り」観光がありますが、「いかだ下り」はここだけです。(社会連携室・嶋谷泰典)

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 北山村の名産「じゃばら」のドレッシング、飴、果汁の3点を抽選で3名さまにプレゼントします。ご希望の方は、下記のアドレスへ今月29日(水)までにお寄せください。ただし、直接お渡しできる方だけに限らせていただきます。

アドレス=shimatani@liaison.eng.osaka-u.ac.jp

早朝、北山川にかかる吊り橋は、
もやで幻想的な光景を見せていました
バンガローを背に、散りかけの桜も美しかったです。
飛び地である北山の位置が、分かりやすいでしょう?
読者へのプレゼント3点

 

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