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NEXCO西日本 高速道路学共同研究講座

高速道路の価値の最大化を目指した「高速道路学」という新しい学問分野を開拓しています。

NEXCO西日本高速道路学共同研究講座

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NEXCO西日本 高速道路学共同研究講座

悲願の講義を今年度から開講、”リアルな学び”

講義の最終回に、高速道路建設現場を見学しました 

♦新分野「高速道路学」を開拓 学生が建設現場見学も
 西日本高速道路株式会社(以下「NEXCO西日本」)が、高速道路資産の建設・運用に関する知識を高度化、総合化し、地域特性を踏まえた新たな学術分野「高速道路学」の開拓を目的として、2011年7月に「NEXCO西日本高速道路学共同研究講座」を開設しました。
 それから15年の節目となる今年度、悲願の大学院講義「高速道路学」(前期15回)をスタートさせることができ、毎回約40人の学生が受講して好評を博しています。講義では、高速道路の計画、設計、施工、維持管理、防災、交通管理などを、NEXCO西日本の実務事例と大学の専門知識を結び付けながら学びます。そして最終回には、高槻市での建設工事現場の見学も行いました。
 一連の教育・活動について、講座の友村圭祐・招へい研究員と鎌田敏郎・大阪大学大学院工学研究科教授に話を聞くとともに、NEXCO西日本の技術者による授業や高速道路の建設現場を見学する学生の様子を取材させてもらいました。 

「高速道路評価学」「社会基盤経営学」「高速道路情報学」の3本柱で

<友村圭祐・招へい研究員>


――NEXCO西日本が共同研究講座を設置する経緯から教えてください。

 NEXCO西日本の前身は1956年に設立された日本道路公団です。2005年の道路関係四公団の民営化に伴い設立され、現在、東側は福井の一部と近畿から、西側は沖縄まで広い地域の高速道路を建設・管理しています。
 大阪大学内に2011年、「NEXCO西日本高速道路学共同研究講座」(以下、NEXCO講座)」を設置しました。概ね3年ごとに更新しながら第5期まで研究活動を続け、現在、第6期に向けた検討を進めています。
 当初から研究成果を学生教育へ還元する構想がありましたが、単位認定科目としての開講にはさまざまな課題がありました。そして15年間の活動を通じて研究成果が蓄積され講義内容の体系化も進んだことから、 2026年度に大学院生を対象とした講義「高速道路学」を開講しました。


――講座の中身を紹介してください。

 NEXCO西日本は約3625㌔の高速道路を維持・管理するとともに、新名神高速道路や拡幅事業など約227㌔の建設を進めています。2012年の笹子トンネル天井板崩落事故を契機に道路法令が改正され、道路構造物の定期点検が法的に義務付けられました。老朽化する道路構造物の点検・補修に加え、熊本地震や各地の豪雨災害を踏まえた危機管理も、講座の主要な研究テーマです。

友村招へい研究員は、 6月に金沢で開かれた産学連携学会でも報告しました

 ◆講座で博士号取得の社員も講師に


 ――講義創設の経緯や内容などをお示しください。

 「高速道路学」は、大学の専門知識と高速道路の実務上の課題を結び付けて学ぶ講義です。「高速道路評価学」「社会基盤経営学」「高速道路情報学」の三つを柱とし、構造物の評価・診断、事業やリスクのマネジメント、ビッグデータやAIの活用などを扱います。
 共同研究講座の設置当初から、研究成果を単位認定科目として学生教育に還元する構想がありました。15年間の研究成果や教材の蓄積に加え、鎌田先生からの提案を受け、大学とNEXCO西日本が実施体制や手続きを調整し、開講に至りました。
 全15回のうち4回は、NEXCO講座で研究し、博士号を取得したNEXCO西日本の社員が講師を務めています。

◆記録動画などメディアを駆使、演習も実施


 ――実際に授業を行って、どのように感じていますか?

 大学で学習する専門知識が、実務でどのように生かされているかを学生に示したいと思っています。この講義は、当社の採用活動だけを目的とするものではなく、社会基盤を支える人材の育成を目指しています。
 授業では、動画等のメディアも駆使して、学生により分かりやすくなるよう工夫しています。大規模な災害や事故の記録動画など、当社が整理してきたメディアを活用し、現場の状況を具体的に伝える工夫をしました。また、現地の制約条件を踏まえてスマートインターチェンジの配置計画を検討する演習も行いました。学生からは活発に意見が出され、実務者にとっても参考になる内容がありました。
 一方、基礎的な内容と専門性の高い内容をどのようにつなぐかが、今後の課題です。各回の連携を高め、学生が高速道路の建設・管理を体系的に理解できる講義にしていきたいと考えています。「学」の枠に収まらず、多面的な展開にもっていきたいですね。

「真剣な聴講に、やりがいあった。質問も的確で鋭い」

<博士号を取得したNEXCO西日本社員による講義>
 共同研究講座で2021~2024年度に招へい研究員を務め、「舗装の深層損傷とマネジメント」をテーマに博士号を取得したNEXCO西日本の社員が、6月16日に「高速道路の設計施工技術―舗装(Ⅰ)」の講義を行いました。
 講義では、舗装表面のひび割れやわだち掘れだけでなく、舗装内部で進行する損傷を把握することの重要性を説明しました。また、路面性状や日常点検などの現場データと、大学で開発された統計的劣化予測モデルを組み合わせ、舗装の損傷状態を可視化し、補修計画や長寿命化につなげる研究成果を紹介しました。

講義では、学生から積極的な質問がだされました

 講義後の質疑応答では、舗装内部の剥離と実際の損傷との関係や、舗装を長寿命化するための具体的な方法などについて、学生から質問が寄せられました。講師は一連の講義を振り返り、「真剣に聴いてくれて、やりがいがありました。さすが阪大の学生は、質問も的確で鋭いですね」と感想を語りました。

高架橋とトンネル現場を見学、 学生は迫力に圧倒

<高速道路の工事現場見学>
 授業の最終回となる7月14日、学生約40人が、高槻市内で建設中の高架橋とトンネルを見学しました。学生たちはバス2台に分乗して大阪大学吹田キャンパスを出発し、最初にNEXCO西日本新名神大阪西事務所で、工事の概要や安全管理について説明を受けました。

◆鉄道上に架橋する難しさ
 高槻高架橋の現場では、高さ約30メートルの高架橋を間近に見ながら、鉄道上に橋桁を架設する工事について学びました。列車の運行に影響を与えないよう、限られた時間内に施工する必要があり、工程や作業スペース、安全対策などについて、鉄道事業者と綿密に調整していることが説明されました。

トンネルの坑口で説明を受けました

◆発破準備の安全対策、防水・排水工などを学ぶ
 続いて梶原トンネル東坑口を見学しました。現場では、発破による掘削方法のほか、地山から流入する水への対策として設置された防水・排水工や、坑内に空気を送る大型の送風設備について説明を受けました。学生からは、非常時の避難方法や、1日4回行われる発破作業の工程などについて質問がありました。
 見学を終えた学生は、「橋脚の大きさに驚き、発破作業の安全対策も勉強になりました。多くの建設業者が役割を分担しながら工事を進めていることも印象に残りました」と感想を述べました。

講座、 講義で 「I o C 」 を実現

<鎌田敏郎教授>

◆一線で活躍する技術者が学生に直接伝える


――高速道路学が生まれ、育ってきた経緯を教えてください。

 日本で最初の高速道路ができたのは1963年で、世界的にも大変遅れて、ひどい状況でした。外国からも資金を借りて、まず名神高速道路ができました。
 工学研究科で高速道路学を体系化して、「NEXCO西日本高速道路学共同研究講座」を5期15年継続してきて、それが今回の「授業」に結実しました。「我々がやらなければならない」という強い意気込みでやってきました。
 阪大がIoC(Industry on Campus)を理念として、産学連携を学生に伝えるには、この講座はとても良い事案となりました。阪大の社会基盤工学部門は、他大学の同様の学科と比較して、所帯が小さいことが逆に奏功して、各教員互いが協力し合ってきたことで、講座が長く継続されてきたのでした。
 また、企業側のNEXCO殿が、本堤案に対して熱意を持って取り組んでくれました。相互に勉強し合い、授業開講にあたってさまざまなやりとりを繰り広げました。講師をそろえ、スケジュール調整することも、本当に大変でした。すべての授業に担当の4教員の誰かが、必ず出席するようにしています。もちろんNEXCO側も一緒に出席して頂いています。

◆ニーズとシーズのマッチング学ぶ


――学生には、どんな学びをしてもらいたいですか?

 高速道路は計画・設計・施工・維持管理・環境・交通管理まで、膨大な専門領域が連携して初めて成り立ちます。この授業では、NEXCO西日本の第一線で活躍する技術者が、実際のプロジェクトや最新課題を学生に直接伝えてくれます。まさにNEXCO西日本との本格的な協働による〝リアルな学び〟(実践性)を実現できています。
 いろんな分野が15回の授業に詰まっています。単に並べているのではなく、各回をうまく連係させるように、工夫もしています。NEXCOからは授業に向けて、実務知を入れてもらっています。
 社会と大学のつながりを、しっかり知ってもらいたいです。ニーズとシーズのマッチング、その実現例を授業で示しています。
 社会がうまく成り立つために、大学の土木・環境・防災・交通システム・電気電子など全部を集め、高速道路学を通じて横ぐしを刺せたと思います。
 

◆NEXCO側も「フロントランナーを自負」


 ――講座から博士も出ているんですね。

これまでに、この講座の運営に関わった4名のNEXCO社員の方が、博士論文を完成されました。具体的には「斜面防災の高度化」、「アンカーボルトの非破壊検査」、「舗装の深層損傷とマネジメント」、「トンネル照明設備のデータ志向型マネジメント」の4編で、最後のものは電気・電子分野につながるなど、非常に多角的な論文が出来上がりました。
 そして今年度中には、5人目の博士論文が出来上がると期待しています。いずれも、NEXCOの方が、自分の研究の結晶として、会社の重要なニーズを取り込んだ素晴らしい博士論文に仕上がっています。阪大側にも大きなメリットがあり、まさに共同研究講座の最大限の成果のひとつといえます。
 IoCは、最初は言葉として生まれたものですが、我々の共同研究講座の取組みによって現実になりました。まさにIoC。この実を、15回の授業で体感できるのです。できるべくしてできたといえます。
 NEXCO側も、「自分たちがフロントランナーなんだ」との自負をお持ちです。


――全く新しい授業を作るために、学内調整でご苦労されたのでしょうね?

 毎年、NEXCO西日本本社で、先方の役員を含んだ幹部の方々への報告会を開き、ディスカッションを行っています。これまで「このような授業をつくりたい」と言い続けていて、ちょうど機が熟していたのだと思います。昨年の今ごろでした。先方も「大学と協働すること」に対する期待感をお持ちで、大学としても「講座がある以上、授業をもちたい」との強い思いが、先方とマッチしました。私にとっても悲願でした。いろんな条件がそろった良いタイミングだったと思います。

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NEXCO西日本 高速道路学共同研究講座

高速道路の価値の最大化を目指した「高速道路学」という新しい学問分野を開拓しています。

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