工学研究科の窓 研究探訪 Vol. 6
金沢で開かれた産学連携学会「下」

◆「能登震災からの復興」と「スタートアップ」をテーマに
産学連携学会第24回大会金沢大会が6月18、 19日、 金沢市内で開催されました。記事の前号「上」で、第2日目の大阪大学からの発表を報告しましたが、今号「下」では、第1日目のシンポジウムの模様をお伝えします。
シンポジウムは、ANAクラウンプラザホテル金沢で開催。能登半島地震当時の石川県副知事だった西垣淳子・政策研究大学院大学特任教授が「能登震災からの復興~産学連携やスタートアップの価値~」と題して基調講演しました。
西垣氏は、2024年1月1日に発生した能登半島地震の特徴として「高齢化の進んだ地域で元旦に発生し、多くの家族が帰省していました。家屋倒壊など住宅被害が多く、断水も長期に及びました」と分析。行政の姿勢として「単なる復興」にとどめず、「創造的復興=再設計」という発想で臨んだことを強調しました。具体策として①インフラの再設計=限界集落を「現代集落」にするプロジェクト②輪島塗産業の再設計=外部知の導入③漁業の再設計=「漁師メシ宿」の設定などスモールスタート④コミュニティの再設計=団体「NOTOTO」など⑤人材の再設計=人材を循環させる――などを例示しました。
そして「能登特有の問題に対処するため、産学官連携が大きな原動力となっている」と述べました。

続いて「スタートアップ・エコシステム共創プログラムにおける地域のスタートアップ創出~災害復興などの地域課題・社会課題の解決とグローバルなスタートアップ創出への取組み」をテーマにシンポジウムを開催。JSTスタートアップ・エコシステム共創プログラムに採択されている全国の6プラットフォームの研究者・担当者が一堂に会し、意見交換し合いました。
発表した活動報告の要約は次の通り。
▽北海道(HSFC)=人口減による課題先進地域となっていて、産業創出などに力を入れている。
アントレプレナーシップ教育も実施している。
▽東北(MASP)=人文・社会科学系や文理融合などの多様な領域を対象としている。
▽甲信・北関東(IJIE)=インパクトビジネス枠を新設。地域に眠る水力エネルギーの活用を図っている。
▽北陸(TeSH)=孤立集落への物資輸送に取り組んでいる。
▽中・四国(PSI)=産業クラスターを興そうとしている。創薬・医療機関が多いことから、ワクチン製造も始めた。
▽九州(PARKS)=産業流出が大きな課題。いかにつなぎ止めるか、中小企業との連携を強めている。
パネルディスカッションではさらに議論を深め、「地理的に近いアジアとの連携を重視し、アントレプレナーシップ教育にもつなげています」「海外とたたかうには、ユニコーン企業を育てることが重要だと思います」「イノベーションのみならず、(複数を連携・統合させる)インテグレーションを目指すことも必要です」など多彩な意見が寄せられました。
最後にファシリテーターの内田史彦・北陸先端科学技術大学院大学学長補佐が「まとめ」を行い、「採択されている9プラットフォームのすべてが、ドローン研究に取り組んでいます」と分析し、大阪大学の水中ドローンを例示してくださいました。 (社会連携室・嶋谷泰典)
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