工学研究科の窓 研究探訪 Vol. 8
最先端研究シンポ、 「工学」からも紹介

◆阪大の最先端研究シンポジウム、 工学研究科を中心に6分野紹介
大阪大学を代表する研究者が、未来を創る注目6分野の最先端研究を紹介する「第1回SWGs (Sustainable Well-being Goals 持続可能な開発目標) 時代を切り拓く産学共創シンポジウム」(大阪大学、 大阪商工会議所、 大阪国際会議場主催)が8月28日、 大阪市北区中之島の大阪国際会議場で開かれ、 500人を超す聴衆が聴き入りました。プレゼンテーション6分野のうち、 工学研究科の大政健史研究科長(執行役・副学長)、 中野貴由副研究科長、 森勇介教授の3人が講演を行いました。

◆阪大と大商が包括連携協定締結、 ノーベル賞の坂口特別栄誉教授が基調講演
冒頭、 大阪大学の熊ノ郷淳総長と大阪商工会議所の鳥居信吾会頭が「包括連携協定」を締結し、 熊ノ郷総長は「政府は日本の技術立国推進に向け17成長戦略を設定しました。 本日は大阪大学の6つの強み(先端医療、 バイオ、 マテリアル、 半導体、 量子、 核融合)をご紹介します。 1931年に市民の力で創られた大阪大学は、 大阪商工会議所と産学連携を一層進めてまいります」とあいさつしました。
続いて昨年、 ノーベル生理学・医学賞を受賞した坂口志文・特別栄誉教授が「制御性T細胞: その発見から新しい免疫医療に向けて」と題して基調講演。 「ヒトにはバセドウ病、 糖尿病、 リウマチなどさまざまな免疫疾患があります」と説き起こし、 制御性T細胞を増やせば異常・過剰な免疫応答を抑制することができ、 一方がん組織中の制御性T細胞を除去すれば、 がん細胞に対する免疫応答を引き起こすことができるメカニズムなどから、 研究の展望までを示しました。

◆工学研究科から大政研究科長、中野副研究科長、森教授
最先端研究プレゼンテーションでは、 工学研究科の3人を含む6人が登壇しました。
【合成生物学・バイオ】分野の大政教授は「我が国における成長への道筋と大阪大学のポテンシャル」と題し、 バイオテクノロジーは21世紀の産業社会をけん引する成長分野であり、 大阪大学が大きなポテンシャルを持っていることを示しました。 このほか、 官立大阪工業学校の創設から130年となった工学研究科の歴史や実績も紹介しました。
【マテリアル】分野の中野教授は「マテリアル&グリーンイノベーションの引き金となる最先端3Dプリンティング」と題し、 3Dプリンティングによる「サーキュラ―エコノミーへの貢献」「欲しいものを欲しい時に入手可能なゼロ距離社会」「未来のものづくり」などを提示し、 原子レベルで健常な骨を再生させる骨インプラントの製造にもつなげている実績も、 紹介しました。
【半導体】分野の森教授は「大阪大学で発見されたCLBO結晶が拓く最先端半導体製造プロセス」と題し、 半導体製造に不可欠な結晶を、 発想を変えて偶然に大発見につなげた実績を示したうえで、今後は先端半導体パッケージにおけるさまざまな応用にも期待されていて、さらに経済安全保障の観点からも重要性が高まっていることを説明しました。
このほか【先端医療】の保仙直毅・医学系研究科教授が「デザイナー免疫細胞治療の現状と展望~細胞を“薬”として使う時代に~」▽【量子】の根来誠・量子情報・量子生命研究センター副センター長が「みんなで作って、みんなで使う量子コンピュータ」▽【核融合】の藤岡慎介・レーザー科学研究所教授が「大阪から、未来を輝かせるレーザーフュージョンエネルギー」とそれぞれ題し、 報告しました。

最後に熊ノ郷総長などを交えてパネルディスカッション「最先端研究を社会実装につなげる産学共創―重点投資分野に企業はどう取り組むかー」を行い、 工学研究科社会連携室の飯村亜紀子副室長(執行役・副学長)がコメンテーターを務めて「阪大は全国に先駆けて共同研究講座や協働研究所を設置し企業と多くの連携活動の実績がある。ELSI (Ethical, Legal and Social Issues)にも取り組み、 倫理的、 法的、 社会的観点からも課題解決にあたっている。人材育成も重要」などと発言しました。
シンポジウム終了後の交流会では、多くの研究パネルを展示するなか、 出演者、 参加者などが懇親を図りました。(社会連携室・嶋谷泰典)
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